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「名古屋で見つける化石・石材ガイド」出版、街の石探しで「あなたも石頭に」

「名古屋で見つける化石・石材ガイド」を手にする著者の西本昌司さん

「名古屋で見つける化石・石材ガイド」を手にする著者の西本昌司さん

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 名古屋の街中にある石に注目した書籍「名古屋で見つける化石・石材ガイド」(風媒社)が3月15日、出版された。

風媒社から出版された「名古屋で見つける化石・石材ガイド」

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 ビルの外構や内壁、地下街の床や柱などに使われている特徴的な石材を紹介する同書。化石探し、大理石の模様の違い、海外産の石の結晶、東海地方産の石材、名古屋で見られる国産石材、名古屋市内のエリアごとの石材情報など、各章でテーマを設けて解説している。

 著者は愛知大学教授の西本昌司さん。名古屋市科学館学芸員などを経て、地質学・岩石学・石材を専門に研究を続けているという。出版の経緯について西本さんは「別の出版社から、化石・石材の楽しみ方をまとめた本や、東京で見られる石を紹介する本を刊行し、ニッチなジャンルではあるものの反響を得てきた。今回は名古屋周辺の地域に限定した石のガイド本を作らないかと、出版社『風媒社』から依頼を受けた。地元愛にあふれる同社の存在があったからこそ出版できた」と話す。

 「化石・石材がどこにあるのかという情報だけでなく、石から読み取れる街の変遷も書き記した」とも。一例として名古屋駅前の「ミッドランドスクエア」のオフィスロビーには、以前ここにあった旧豊田ビル・旧毎日ビルの内壁の大理石3種類を再利用したアート作品のカウンターが置かれているという。「こうした事実に気付くと、街の見え方が変わる。石には街の物語が刻まれていることを知ってほしい。さらに、岩石がどのようかにできたのかという地球の営みにまで思いをはせてもらえたら」と呼び掛ける。

 西本さんは「石から当時の経済事情も見える」ともいい、「例えば、石材がたくさん使われているビルはバブル時代にお金をかけて建てられたものが多く、日本が経済的に豊かだったころの遺産だといえる」と説明する。「バブル崩壊から約30年がたち、老朽化によって建て替え時期を迎えているビルも少なくない。名古屋の街に残されている貴重な石材を、ぜひ今のうちに見てほしい」と思いを込める。

 仕様はA5判、151ページ。価格は1,760円。

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