ノリタケの森ギャラリー(名古屋市西区則武新町3)で8月5日より、和紙の作品展「WASHI~piece of paper~」が開催されている。
同展は、日本や海外で数々の作品展やワークショップを行ってきた和紙工芸家の加納恒(ひさし)さんと妻の登茂美(ともみ)さんによる手すき和紙の作品展。さまざまな技法を駆使してすいた和紙を壁面や床にディスプレーし、「和紙の持つ可能性」(恒さん)を表現している。
「それぞれの和紙が持つ穏やかで静かな、どこか温かい質感を古いすき方で表現したかった」と話す恒さんの作品は、天然の植物や昆虫から採る顔料や合成染料、土の顔料といった3種の顔料を使って和紙を染めたもの。
もともと陶芸家である恒さんは、和紙づくりが盛んな小原村(豊田市小原町)で生まれた登茂美さんと出会い和紙すきの魅力を知り、今まで培ってきた「土」の知識を生かしながら現在の日本では珍しい「間似合紙(まにあいし)」(土を入れた手すき和紙)までも作るようになったという。「間似合紙は古くからある技法で、色が変わらず燃えにくいため家の下張りにいい。ただ、すくのは大変な作業。妻と二人だからできた」と恒さん。
また「最近は学生やシルバー、外国人を対象にワークショップを行っているが、自分の工房にはとりわけALT(英語指導助手)をしている外国人の訪問者が多い。ALTの人は、和紙の楽しさを覚えると、また別の人にその楽しさを伝えていくという連鎖反応を起こしていく。和紙を通じて人と人がつながっていくことに面白さを感じる」(同)とも。
「今後は次世代の人や外国の人に、もっともっと和紙の魅力を伝えていきたい」という恒さんは来年、フランス・ボルドーで展覧会を行う予定もあるという。
同展では加納夫妻の作品のほかに、学校教師や書道家、絵描き、シンガーソングライターなどさまざまな職業の人が作った和紙アートも展示。和紙は縫うこともできるため、和紙でテディベアのぬいぐるみを作った人もいれば、織物を作った人もいる。
名城大学大学院の経営学研究科に在籍し「ものづくり」をテーマに「伝統美術をどう残していくか」を学ぶ佐治さんは、同展で「和紙の作り方」をパネルで表現。佐治さんは和紙の魅力について、「一からものを作ることが大好きで、和紙はそれができるから好きになった。軽いのに丈夫で破れない和紙はとても魅力的。家のキッチンでも作れるくらいに和紙が身近なものだということをたくさんの人に知ってもらいたい。そのために大学院では和紙について研究している」と話す。
会場では、和紙を使ったポストカード作成(1枚=500円)やパネル作成(1点3,000円)の体験もできる。開館時間は10時~18時。入場無料。8月10日まで。
和紙の作品展「WASHI~piece of paper~」の様子(関連画像)和紙で作られたテディベアのぬいぐるみ(関連画像)「まねき猫」をテーマにした作品など500点展示-ノリタケの森ギャラリー(名駅経済新聞)ノリタケの森ギャラリーでキャシー中島さんのハワイアンキルト展(名駅経済新聞)ノリタケの森ギャラリー