映画「空想の森」監督、名古屋で作品PR-7年間にわたる製作振り返る

映画「空想の森 農ある暮らし。~重ねた時間と陽の匂い~」を手がけた田代陽子監督。

映画「空想の森 農ある暮らし。~重ねた時間と陽の匂い~」を手がけた田代陽子監督。

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 シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8)で限定公開されることになった映画「空想の森 農ある暮らし。~重ねた時間と陽の匂い~」の田代陽子監督が11月26日、名鉄ニューグランドホテル(名古屋市中村区椿町6)で会見を行った。

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 同作品は、北海道上川郡新得町で野菜作りや酪農をしながら地道に暮らす人々の姿を追ったドキュメンタリー映画。子どもが生まれたばかりの若夫婦や、京都から入植してきた熟年夫婦を中心に、彼らが毎日丹精を込めて野菜を育てる様子を温かく見つめる。

 1996年に開催された第1回「SHINTOKU 空想の森映画祭」で初めてドキュメンタリー映画と出会った田代監督は2002年にスタッフを組み、16ミリフィルムで撮影を開始。しかし2003年から2005年まで思うような撮影ができず資金も行き詰まり、その後は監督自ら撮影や編集、ナレーションを行う。7年間で撮りためた映像は約100時間にも及んだ。同作品は田代監督のデビュー作。

 田代監督は撮影を始める前、現地の人々の暮らしを深く知るため実際に養鶏場やチーズ工房などで働いた。しかし実情を知れば知るほど伝えたいメッセージは増え、最初に作った作品の長さは約9時間30分。もちろん周りからは「長い」と指摘され、試行錯誤の末、2つの家族に焦点をあてた物語をベースに129分の作品を作り上げた。監督は作品の方向性が固まった最後の1年間を「本当に幸せな撮影ができた1年だった」と振り返る。

 作品について田代監督は「この作品をひとことで表現するのは本当に難しい。見る人によってさまざまな見方があるし、それぞれ引っかかるポイントも違うはず。現代は物があふれ生活が豊かになった。でも人は忙しい。満たされない。そんな閉塞(へいそく)感を感じる日本で、農業に深く関わり毎日幸せを感じながら生きている人がいることを知ってほしい。ラストシーンも見どころ」と話す。

 もともと農家に縁がなく、スーパーに行くと土がついた大根よりはきれいに洗った大根を選んで買っていたという田代監督は「新得町で食べた野菜が本当においしくて、農業の魅力に気づいた」と話す。また「この映画では、何気ない日常に隠れている小さな幸せや、大地とともに生きる楽しさを映し出した。何が自分にとって大切なのか、豊かさとは何か、満たされるとは何かなど、もっと想像力を膨らまして考えてもらえるきかっけになれば」(同)とも。

 今後について、田代監督は「映画は『ライブ』だと思っているので、今後も自主上映会を行い、この映画を通じてたくさんの人とコミュニケーションを図っていきたい」と話す。上映期間は1月10日~16日。公開初日は田代監督による舞台あいさつが行われる。来年は、同作品の英語版「Smell Of Sunshine」を世界で上映する予定も。

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