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名駅・シネマスコーレで若松孝二監督追悼企画-21作品を一挙上映

今年10月17日、交通事故により76歳で逝去した若松孝二監督

今年10月17日、交通事故により76歳で逝去した若松孝二監督

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 名駅西の映画館シネマスコーレ(名古屋市中村区椿町8、TEL 052-452-6036)は12月8日から、逝去した若松孝二監督の映画21作品を一挙上映する「追悼を越えて これが若松だ!」を開催する。

若松監督が設立した映画館「シネマスコーレ」

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 若松監督は1963(昭和38)年に映画監督デビュー。1965(昭和40)年に「若松プロ」を設立し、暴力や性描写などで人間の本質を描き出す話題作や現実の社会状況を大胆に取り込んだ意欲作を多数、世に送り出し、注目を集めた。1983(昭和58)年に名駅西にシネマスコーレを設立。2000年代に入ってからも「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」「キャタピラー」、今年公開の「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など精力的に作品を発表し、日本映画界をけん引してきた。今年10月17日、交通事故により76歳で逝去した。

 追悼企画では「壁の中の秘事」「処女ゲバゲバ」など1960年代の作品から、強烈な内容で当時、上映反対運動が起こった「天使の恍惚(こうこつ)」など1970年代の代表作、多くの新しいファンを獲得した2000年代の作品まで、21本を順次上映する。

 同館支配人の木全純治さんは「1960年代の作品から最新作まで、ほぼ年代順にラインアップした。若松監督は時代とともに映画を撮ってきた。1970年代はまさしく激動の時代。日本中がバブルに浮かれて多くの映画人が明確なターゲットを失っていた1980~90年代は、模索の時代だった。2005年以降は、再び日本が混乱期を迎える前兆に監督が敏感に反応し、第3期と呼べる時代となった」と作品の軌跡を紹介する。

 同館が特別上映にセレクトした注目作品は「性輪廻(セグラマグラ) 死にたい女」(1971年)。「三島由紀夫が亡くなって4日目に撮影を始めた作品。三島の事件を受け、主人公や内容を変更して一気に作った。最新作の『11.25自決の日~』と題材は同じでも、撮った時代と作り方がまったく違う。今までほとんど見られていない作品なので、ぜひ見てほしい」

 期間中、作品上映とともに、佐野史郎さんのトークショー付き上映会(今月16日)や、ミュージシャン梅津和時さんのミニライブ付き上映会(同20日)など、さまざまなイベントもう。「佐野さん、梅津さん共に、シネマスコーレでイベントやライブに出演していただいたことがある縁が深い方々。若松作品にも出演や音楽で参加してもらっている。イベントで取り上げる映画は、新しいファンが知らないような作品を選んだ。驚いてもらえるイベントにしたい」

 監督の遺作となる映画「千年の愉楽」は来年3月に公開予定だという。「次は原子力発電所の映画を撮ると言っていた。一貫して権力に立ち向かった日本では本当に珍しい映画監督だった。真っ向から立ち向かうだけではなく、いろいろなパターンを持っていた。インデペンデントでずっとやってきたが、監督が声を掛けたら、大物も一緒にやってくれる。誰もまねができない、とても幅の広い人だった。ぜひ映画館でその魅力を感じてほしい」

 料金は、一般1,600円、学生1,300円、シニア1,100円(前売り券は1回券1,300円、3回券3,300円)。上映時間、イベントの日程はホームページで確認できる。2013年1月4日まで。

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