名駅の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8)が日韓合作映画「デッドエンドの思い出」の制作を発表。4月1日から名古屋市内各地で撮影を行った。韓国の「ZOA FILMS(ゾアフィルムズ)」との共同制作。
「デッドエンドの思い出」は吉本ばななさんの同名小説が原作。名古屋に赴任した婚約者が別の女性と一緒に暮らしていることを知って恋に破れた女性が、喫茶店で出会う男性ら街の人々の優しさに触れ、立ち直っていく姿を描くドラマ。初めて訪れた名古屋で失恋し、途方に暮れる主人公ユミを「少女時代」のスヨンさん、喫茶店を営む男性・西山を「BOYS AND MEN」の田中俊介さんが演じる。メガホンを取るチェ・ヒョンヨン監督は、「The AFTER…」で「ダマー映画祭inヒロシマ」(現広島国際映画祭)グランプリを受賞。2010年に同作で「あいち国際女性映画祭」に招待された。
同映画館支配人でプロデューサーの木全純治さんは「ゾアフィルムズ代表で映画プロデューサーのイ・ウンギョンさんが原作小説のファンで、映画化したいと熱望したことが企画の始まり。韓国に日本の映画監督をコーディネートしたことでご縁があったので、協力することになった」と企画立ち上げの経緯を話す。
主演の田中さんについて「名古屋を舞台に、ここから世界に発信する映画なので、名古屋の優れた俳優を使いたかった。当館副支配人の坪井が『映画マニア』(東海テレビ)で田中さんと共演していて、彼が映画に対してとても熱い思いを持っている人だと分かっていた。ボイメンも勢いがあるし、田中さんをキャスティングできて良かった」と話す。
名古屋と長久手のオールロケで制作する同作。名駅南側にあるゲストハウスや円頓寺商店街、長久手の古戦場、モリコロパークなどで撮影を行った。木全さんは「ロケ地に関しては韓国、東京などいろいろな場所を検討したが、原作と脚本を手に名古屋の街をくまなくロケハンし、物語のイメージに合った場所を見つけることができた。映画として魅力がある企画だが、名古屋の魅力を伝えられる作品にもなるはず」と意気込む。
同映画はクラウドファンディングで制作費を募り、支援者にはエンドロールへの名前の掲載や、監督・プロデューサーとの茶話会、出演者のサイン入り台本進呈など、さまざまなリターンが行われる。「制作資金を集めることはもちろん、名古屋を中心に広く企画を広めたかったので、支援プロジェクトを起案した。支援者の皆さんには映画の応援団になっていただき、名古屋から企画を盛り上げてほしいと呼び掛けた。注目度は高く、予想以上に早く目標金額を達成できた」と手応えを感じている。
最後に木全さんは「来年早々にシネマスコーレで公開する予定。あいち国際女性映画祭、釜山映画祭への出品も目指している。日本、韓国だけではなく、世界中の観客に見ていただける映画にしたい」と語った。