名古屋のスイーツ「ぴよりん」に「あいち妖怪保存会」がピンク色のチョコペンを使い「発毛を促したところ、近頃話題のあいつに…」のツイッター投稿に注目が集まっている。
妖怪の魅力は「人の営み」を感じることというあいち妖怪保存会共同代表の島田尚幸さん
2011(平成23)年発足の「あいち妖怪保存会」。共同代表の一人、島田尚幸さんは幼い頃に虫取りなど遊び場にしていた墓場の風景にアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の風景が似ていることから同アニメに興味を持ち、妖怪やオバケの面白さに出会うきっかけになったという。本職は教員。同会の活動としてイベント、講演会、メディア出演のほか、お化け屋敷のプロデュースを担うこともある。
島田さんによると妖怪の魅力は「人の営み」を感じること。「人の美しい面、ドロドロとした醜い面、性、生、死なども妖怪を通じて見えてくる。理由が付けられない『よくわからないものごと』や、流行病、今回のコロナのような、何かしら落とし所を求められるときに姿を現す妖怪もある」(島田さん)。
疫病退散で話題の妖怪「アマビエ」がブームになり始めた時に「妖怪やオバケ好きの自分たちは少し戸惑った」と振り返る。島田さんによると、アマビエのような予言獣と呼ばれる妖怪は本当にいたかどうかは定かではなく、アマビエを記した資料も「『疫病が流行(はや)ったら、自身の姿を写した絵を人々に見せると良い』と聞いた役人が描いたアマビエの絵を、さらに描き写した」ものとして販売された瓦版だという。
アマビエの場合、「鯰(なまず)絵」のように大流行しなかったと推測され、現在、確認できる摺(す)り物は1枚のみ。「実際のところはアマビエが疫病を封じたなどと記した資料は今のところ見つかっていない。当時は人気が集まらなかったようだが、今では疫病退散のアイコンにまでなった」(島田さん)。
残されてる摺物はカラーではないため、アマビエを描き写して楽しもうとした人がネット検索で見つけた「ゲゲゲの鬼太郎(第5期)」に登場するアマビエを参考にしたのではないかと島田さんは推測。ピンク色の毛にブルーを基本とした身体をしたパステルカラーで描かれる、ガーリーな雰囲気のアマビエが世に広まった。「今広まっているのは、語られる文脈や扱われ方も含め従来のアマビエとは区別して『アマビエ2020』と呼んだりしている」と笑顔を見せる。
「ぴよりん」にチョコペンで手を加えたのことについて「常滑で見掛けたアマビエモチーフの陶器作品の突起状の口で鳥のような見た目やずんぐりした風貌でぴよりんを思い出し、作れるのではと思いついた」という。「面白がってもらえたらという気持ちで『作ってみた』投稿をした。あえてアマビエとは出さず匂わせツイートをした」。
投稿に対して「アマビエぴよりん」という反応が多い中で、「Eで始まるお笑いコンビの方?」という反応も。チョコペンで「発毛」を施す所要時間は5分で「難しくはない」というが、「ぴよりんを無事に持ち帰ることの方が難しいかも」と話す。
ぴよりんを製造販売するJR東海フードサービス(名駅南1)のケーキ工房長の木山裕子さんは「妖怪とは思えないほどかわいらしいアマビエぴよりん。ぴよりんチャレンジに続き、いろいろな楽しみ方をされうれしく思う」と話す。