名古屋を中心に親しまれるどら焼き「千なり」をテーマにしたコンセプトルーム「両口屋是清 千なりルーム」の販売が4月1日、「名古屋JRゲートタワーホテル」(名古屋市中村区名駅1)で始まった。
「千なり」は名古屋の老舗和菓子店「両口屋是清」(以下、両口屋)が1934(昭和9)年ころから販売を始めたロングセラー商品。皮の表面に豊臣秀吉の馬印「千なり瓢箪(びょうたん)」の焼き印が押されている。今月1日に23年ぶりに大幅リニューアルを行い、生地、あん、パッケージを変更するほか、新しい味「林檎(リンゴ)あん」を発売した。
今月17日に迎える同ホテルの開業5周年と、「千なり」の大幅リニューアルという節目が重なり、「ともにお祝いする気持ち」や「新型コロナに負けずに名古屋を盛り上げたい」という思いで「千なりルーム」を企画した。同ホテルは開業記念や年末年始に、同ホテルオリジナルの焼き印を施した「千なり」を「ささやかなおもてなし」として宿泊者に進呈している。
「千なりルーム」は1室限定で、随所で「千なり」の世界観を表現する。トレインビューの角部屋で景色がよく、同ホテルの中でも一番いい部屋を活用したという。同ホテル初めてのコンセプトルームとなる。
ベッドには「千なり」の姿形を反映した「千なりクッション」や新パッケージをデザインしたブランケットを設置。3種類の味「小豆粒あん」「抹茶あん」「林檎あん」のパッケージをプリントしたクッションカバーの中には、それぞれの「あん」も表現した「千なりクッション」が入る。同ホテル広報の横田友美さんは「千なりになった気分でブランケットが掛けられたベッドに入り、もちもちの『千なりクッション』を枕にすると、『餡(あん=安)眠』してもらえるのでは」と笑顔を見せる。
壁には両口屋のロゴマークを額に入れ飾り、一部の壁紙を同パッケージデザインに変更する。そのほか、ロゴマーク入りの湯飲みやタンブラー、両口屋スタッフがイベントなどで着用するものと同じデザインのはっぴも設置する。
「ウエルカム千なり」として、開業5周年の焼き印を押したオリジナル千なり(2個)と和三盆(5個入り)を1室につき1セット用意する。朝、食べる菓子としての「おめざ千なり」に、「小豆粒あん」「抹茶あん」「林檎あん」(3種類1個ずつ、リンゴを模した紙箱入り)も人数分、用意する。通常提供するコーヒーや水のほか、日本茶も用意する。
週末を中心に10件の予約が入っているという(取材時)。
横田さんは「おばあちゃんの家に行くと必ずあるお菓子、手土産によく利用するなど、地元の人にとってとても身近な存在の千なり。まずはコロナ禍でホテルが大変な中、支えてくれた地元の人に、特に楽しんでほしい。味わうだけでなく触れる『千なり』も楽しんでほしい」。両口屋広報の近藤美香さんは「お菓子はどんな時も食べると笑顔になるものと思っている。コロナ禍で不穏な中、明るい話題を提供できれば。『千なりルーム』でハッピーに過ごしてほしい」と話す。
宿泊料金は、開業日の「2017年4月」にちなみ、1室=2万174円(2人まで)。予約はホームページで受け付ける。販売は6月30日まで。