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円頓寺商店街に「茶室」開店へ 日本文化の裾野を広げる新たな拠点に

茶室亭主の香川絢子さん

茶室亭主の香川絢子さん

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 円頓寺商店街の「Endoji Square」(名古屋市西区那古野1)1階で現在、3月上旬の開店に向けて茶室の工事が進んでいる。

茶室の模型

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 茶室の亭主は、表千家教室「和水香庵(なごみこうあん)」の運営をはじめ、イベント、講演会、動画配信などを通して日本の伝統文化を発信する「中の屋」社長の香川絢子さん。2022年1月まで市内老舗料亭で若女将(おかみ)を務めていたが、料亭スタッフを対象に茶道教室を開いたことで「生活文化の一つである茶道を通して、日本文化に関心を持つきっかけをつくりたい」との思いが芽生え、独立を決意した。

 茶室を開店する円頓寺商店街は地元客に加え観光客の利用も多い。香川さんは「目指したのは、誰でも気軽に立ち寄れる開かれた茶室。若い世代や国内外の観光客に体験観光が提供できれば、茶道の普及はもちろん地域貢献にもつながるのでは」と期待を寄せる。

 茶室の広さは京間の4畳半。愛知県出身で、これまで約50件もの茶室工事を手がけてきた「岩崎建築研究室」(京都市)の岩崎泰さんが設計した。かつて京都にあった茶室の欄間やふすまなどの建材を活用する。茶室中央に炉を組むため小上がりのようになることから、「廊下に椅子を置き、正座が難しい人には椅子に座って茶の湯を体験してもらうことも想定している」(香川さん)という。

 茶室の襖絵は名古屋市在住の画家、茶室の顔となるのれんは有松絞作家が手がける。香川さんは「これまでにもご縁のあった方々からの多くの力添えにより、こだわりを詰め込むことができた」と笑顔を見せる。

 茶室は、週2日程度を茶道の稽古場として使用。残りの5日間は一般客が茶道の所作を気軽に体験できる教室として運営し、自身で抹茶をたてる「甘味膳」(1,000円)や茶懐石を簡易的に体験できる「一汁一菜」の「粥膳(かゆぜん)」(1,500円)のほか、抹茶のように茶せんでたてて飲むコーヒーや、和菓子デザイナーが手がける干菓子を提供する。営業時間や営業日は、プレオープン後の状況を踏まえて検討していくという。

 茶道体験の機会を増やすのに加え、茶室運営を通じて「茶道の心得のある人が活躍できるような、教室事業のモデルケースを生み出していきたい」と考える香川さん。「茶道人口が激減する今、日本文化の裾野を若い世代にも広げていきたい」と意気込む。

 3月15日まで、クラウドファンディングも行っている。一括200万円の寄付者には、茶室に命名できる特典を用意する。集まった資金は建設費などに充てるという。

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