名駅西の映画館「シネマスコーレ」(名古屋市中村区椿町8)が2月19日、開館40周年記念上映とトークショーを開催した。
シネマスコーレは1983(昭和58)年、映画監督の故若松孝二さんが開館。以後40年にわたり、アジア映画や日本映画の注目作、インディーズ作品などを上映してきた。
この日は40周年記念企画として映画「止められるか、俺たちを」を上映した。同映画は2018(平成30)年、白石和彌監督がメガホンを取り、井浦新さんが主演して「若松プロ映画製作再始動第1弾」として製作された作品。1969(昭和44)年の若松プロを舞台に、映画作りに情熱を傾ける若き日の若松孝二監督と仲間たちの日々を描く。
上映後には支配人の木全純治さんが登壇し、トークショーを開催。映画館を応援する観客への感謝を述べ、自らプロデューサーを務める制作中の新作映画「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」をPRした。同映画は、1983年から1985(昭和60)年にかけてのシネマスコーレ創成期を描いた青春群像劇。若き日の木全さんを東出昌大さん、若松監督を再び井浦さんが演じる。監督は若松プロ出身の井上淳一さん。木全さんは「白石監督の1作目も素晴らしかったが、井上監督もキャストがかなり異色で面白くなっている。東出さんの演技は、かなり私に近づいて驚いた。井浦さんは、前作から年を重ね、ちょうど若松監督が僕と出会った時期と同年齢になった。見応えのある作品になった」と自信を見せた。
続いて木全さんは、開館から40年にわたり務めた支配人を退任し、この日をもって代表になることを発表。新たな支配人には副支配人の坪井篤史さんが就任した。トークショーのMCを担当していた坪井さんは「木全支配人の下にいる自分が好きだったので、まさかこうなるとは思っていなかった。20年、支配人からのエキスは頂いてきたので、そのノウハウを生かして、面白い41年目のシネマスコーレにしていけたら。相変わらずギミックたっぷりなので、皆さんよろしくお願いいたします」と語った。
トークショー終了後は同館2階で、映画関係者ら約50人が参加し、40周年記念パーティーを開催。「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」メーキング映像の上映などが行われた。木全さんは「40年は長い時間だが、僕にとっては通過点にしたいと思っている。最初は新東宝の成人映画を上映し、インディーズ作品になり、4年目には、思い描いていたアジア映画を中心とした現在の形になった。幸運だったのは、80年代の半ばからアジア映画が次々に出てきたこと。韓国、インド、中国の映画、90年代には香港映画が出てきて、アジア映画が活発になる時期と重なった」と振り返る。今後については「今年は『青春ジャック』で、日本のミニシアターに少しでも貢献したい」と意気込んだ。
映画は若松孝二さんの命日の10月17日に公開予定。11月から同館を皮切りに、全国の映画館で順次、上映する。