円頓寺商店街の多目的空間「藁の棲」閉鎖へ-地域のつながりつくる

わらと土壁で作られた「藁の棲」

わらと土壁で作られた「藁の棲」

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 わらと土壁で作られた円頓寺本町商店街の多目的空間「藁の棲(わらのすみか)」(名古屋市西区那古野2)の閉鎖が決まり、3月7日、「藁の棲サヨナラパーティー」が開催される。

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 同空間は2004年、学生提案型まちづくり支援事業のモデル事業として、名古屋工業大学の藤岡伸子教授の研究室主導の下始まった企画。建築デザインを勉強する同研究室の学生をはじめ、金城学院大学、豊橋科学技術大学、名古屋市立大学など多くの大学生の手で作られ、2005年2月にオープンした。

 ストローベイル工法(藁壁建築)で作ることだけが決定していたが、設計からモデルづくり、材料の調達、施工など、すべてを学生が行った。作るのにも乾くのにも時間がかかる土壁を内装に使用した背景には、「スローをテーマとしたスペースなので、口で言っているだけではなく、実際に作るところから手間暇かけたものにしたかった」(藤岡さん)。

 全面わらと土壁で覆われた空間は、台や階段状のスペースを設け、展示台やいすとして使用された。土壁に反射した照明が柔らかい雰囲気をつくり出す。

 「制作中は皆、毎日円頓寺商店街に通うほどだった」と藤岡さん。「地域の方々は、最初は『何をやっているんだろう?』というくらいの反応だったが、徐々に顔なじみになり、差し入れを持ってきてくれたり、左官屋さんも壁の塗り方をアドバイスしてくれたりと、地域の人々と仲良くなっていった」と当時を振り返る。

 これまでに行われたイベントは、着物のリメーク、工芸作品、陶芸作品などの手作り作品の展示や、自転車で世界一周をした際の写真展示でゼロエミッションを表現するもの、生花を扱いアレンジなどを行う花店が出店するなどさまざま。イベントのひとつとして行われたキャンドルナイトは、「土壁を早く乾かすことが企画のきっかけだった。窓もなく、乾きにくい時期だったため、人を集めて乾かそうとしていた」(同)というエピソードも。

 「閉めるのはつらい。もともと何もなかったところからスタートしたことを思うと、地域の連携も作ることができ、みんなが活発に動き始め、つながりの地盤をつくることができたかな」と藤岡さん。「このままサヨナラではなく、今後学生を引き連れてつながりを継続する」という。「学生を連れて行くと円頓寺商店街の存在を知らない人が多い。待ち歩きをすると『名古屋にこんな所があったのか』と新鮮に映るようだ」とも。

 7日のパーティーは、運営に関わった人や利用者などを招き開催。4年間を振り返ってメッセージをビデオで収録する。「一般の方も大歓迎」(同)。開催時間は14時~17時。

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