特集/コラム
「コスト削減は知恵の輪―省エネ対策にはアイデアに価値を」グリーンユーティリティー 社長 森 幸一さん
1950年生まれ。55歳。O型。愛知工業大学名電高校電気科卒業。1988年、省電力設備機器製造販売・施工を手がける株式会社東洋テクニカを設立。一方で名古屋大学高温エネルギー変換研究センター研究員、化学工学会会員、電熱学会会員などの会員を務め、東京工業大学ECOS99やオランダエンスヘーデ ECOS2000などでは論文を発表している。名古屋大学高温エネルギー変換研究センター長であった、故新井紀男教授を中心にして電源開発、住友商事、大阪ガス、川崎製鉄、濱田重工業、日本IBM、東洋テクニカ、の産学協同でグリーン(環境)ユーティリティー(電気、水道、ガス)の研究を行ってきた「グリーンユーティリティー特別研究文化会」の成果の具現化を目指す企業として2003年、株式会社グリーンユーティリティーを設立。電気・ガス・水道や環境に関わる最適化業務のアウトソーシング請け負い業、顧客の環境経営に関わるソリューションの提供(LCA評価、事業所内ゼロ・エミッション)などを中心に、省エネルギーと地球環境を考えた事業を展開。
「イニシャルコスト」だけに捕われず、「ランニング」「メンテナンス」コストまで考えた電力費削減方法を
ーこの会社を作ろうと思ったきっかけは?
もともとは「東洋テクニカ」という会社で省エネルギー事業を行っていました。まず「東洋テクニカ」を作った理由を説明すると、日本では、使用する側が損をしすぎているのに、得をしていると勝手に思いこんでいる人が多いと言うことです。たとえば車を例にあげると、同じガソリンの量で長い距離を走る事ができる車なら、車両価格が高くても燃費の事を考えて高い車を購入しますよね。しかし電気設備費になると、誰も設備を使用する年数と電気代の事は考えず、勝手に「電気設備費が安いものを導入した方がよい」と判断してしまう人が多いのです。400Wの水銀灯にかかるイニシャルコストが3万円、4万円、5万円とあったら、みなさんが一番安い3万円にしようと考えてしまうのです。しかし、3万円と5万円のものの違いと言うのは、デザインだけではなく低力率か高力率と言う事もあるので、長く使用すると電気代が違ってくるのです。仮に3万円と5万円のものでは、差額が毎月1,000円違ってきたとします。たった1,000円ですが、5年経てば6万円も違ってきます。最初に購入した3万円の倍近くの電気代を無駄に消費している事になるのです。海外では、機械やシステム導入時など初期投資にかかる「イニシャルコストや、維持・消耗品費にかかる「ランニングコスト」、「メンテナンスコスト」など、数年後にどれが一番効率的でコスト削減になるか、先の事を考えて購入する傾向が高い。しかし日本では「イニシャルコスト」だけを考えて一番安いものを選んでしまい、「ランニングコスト」や「メンテナンスコスト」について考える事が少ないので、「これではいけない」と思いました。そこで私は、費用対コストの中で、まず電気代がものすごく高いことに目を付け、どうすれば安く済むのか考えて、コストを削減出来る機械を作ろうと思ったのがきっかけです。
「法律違反じゃないのか?」と技術を疑われる日々。自らリスクヘッジを買って出て信用を得る
約30年前に「東洋テクニカ」を立ちあげた当初は、高度成長期だったため、月に何百万円の電力費が削減され、数年後には何千万円も削減されると顧客に説明しても「電力費が安くなるなんて嘘だ」「法律違反しているんじゃないか」と誰も信じてくれなかった上に、「不安だし、わからないからやめておこう」という人ばかりでした。そこで私は、「開発した機械を、一度会社や店舗に取り付けて頂き、結果が出なければ持って帰ります。それではどうでしょうか?」という提案をしてまわりました。顧客からは「素人では判断できないので、電力、電気会社に相談したところ、やめた方がよいと言われたので」と断われたりもしましたが、中には「どういうものかしっかりと見てから判断したい」とおっしゃって、取り付けに応じていただいたところもありました。最近はこういった企業が増えて来ていますし、不安なので弊社へ来てどんなものかを直接見にいらっしゃる方が増えました(笑)。このように当初の開発というのは世の中にないもの、またあっても良いものが導入されないといったズレから、誰も思いつかない方法を利用した新しいものを開発して、一般に広めようと思いました。ー御社のメンバーはほとんどが大学の教授ですが、なぜですか?
私は、名古屋大学高温エネルギー変換研究センターの研究員なので、大学で色々な研究をしていました。そこで電力会社の電力を使用するのではなく、名古屋市内の駅を中心に空いたガス管や線路を利用して電気を通す「線電方式」という方法を考えました。電源開発の技術者や大手企業の人が集まり、私が中心となって出来たグループが「グリーンユーティリティー特別研究文化会」という化学研究会です。その会で私の提案がおもしろいという事になり、国から研究費を頂きながら会員と一緒に研究を進めていたのですが、3年間の期間を過ぎ、今後も継続して研究を続けるのか終わりにするのかを決めなくてはならなくなりました。さらに、私には以前から一つの悩みがありました。「東洋テクニカ」でとても良い機械を作っても、競合相手に比べたら会社の知名度が低いので、顧客には「聞いた事もない会社のものなど導入できない」と言われ、断られる事が多かったのです。「国で良いものを良いと判断するような、チェック機能を持つ機関があればいいのに」と悩んでいたところ、それなら国立大学のトップの学者たちを集めて、良いものを認める会社を自分たちで作ろうと、「グリーンユーティリティー」を立ち上げました。商品開発は、「東洋テクニカ」で行っています。電気工事屋さんは電気のプロではない。需要側の立場に立った正しい技術を専門家が判断する機関を
日本には電気工事屋と保安管理技術者がいます。しかし。電気工事の人は、電気の線をつなぐ取り付けのプロ、保安管理技術者の人は取り付けた機械が安全かどうかを見るプロであって、「電気のプロ」ではありません。もう一つ必要な役割、それは「エコロジーソリューションプロバイダー」または「エネルギーソリューションプロバイダー」です。顧客にとって「電気を本当に有効的に効率よく使うアドバイスをする」という技術者が必要なのですが、そういった人があまりいない。そこで私がその技術者の変わりになろうと思ったのです。「東洋テクニカ」の機械が入り、それを安全に取り付けると言うことで電気工事屋が入り、それと同時に継続的に安全かを判断する保安官が必要になってきます。建物を建てる時、電気の事をゼネコンに聞いても、建築家に聞いても電気工事者に聞いても分からない人が多いのです。そこで私は、少し見方の角度を変えて、需要側の立場になって考えてみた方がいいと思いました。現在は、名古屋の保安管理技術者100人と契約して、正しい技術と使用方法を説明しています。コスト削減は、知恵の輪。アイデアに価値を見いだして、省エネ対策
設備を導入する企業の担当者は、使用する場所によって、「イニシャルコスト」、「ランニングコスト」、「メンテナンスコスト」まで考えた電力費の削減を考えた方がいいと思います。電力費を下げる方法は、いくらでもあります。ただしコスト削減方法自体は簡単なのですが、「知恵の輪」と一緒でアイデアにお金がかかっているのです。先に多少「イニシャルコスト」がかかっても、結果「ランニングコスト」が下がれば、電力費の削減になる。二酸化炭素の削減になる。省エネルギーにつながる。今後は、地球規模で行っていかなくてはいけない事です。しかし現状は、紫外線を発生する水銀灯式の電球を使用した施設や看板は改善されないし、二酸化炭素が減るどころか増えているのが現実です。経営者のトップの方は、新しい建物を建てる時、デザインの良さだけでなく建物全体にかかるランニングコストと地球環境の事を、少しでも考慮していただければと願っています。株式会社グリーンユーティリティー

聞手:メディアジャパン
代表取締役 宮崎 敬士
校正:名駅経済新聞 渡邉エリ子
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昨日の朝日新聞朝刊「ひと」欄に,アンテナがぴぴぴっと反応。クリップしておこう。「快適な省エネ」を追求する会社社長 森幸一さん(57)...(2008-03-17 16:36:49)


