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西区新道・老舗扇子店が「お茶紙扇子」-茶メーカーの茶殻をリサイクル

「お茶紙扇子」を手にほほ笑む末廣堂・3代目の川瀬貞男さん

「お茶紙扇子」を手にほほ笑む末廣堂・3代目の川瀬貞男さん

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 西区新道で名古屋扇子の製造・販売を営む「末廣堂」(名古屋市西区新道1、TEL 052-562-2267)の茶殻を使った「お茶紙扇子」が、発売後初めて夏を迎えた。

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 同店は1912(大正元)年創業の老舗扇子店。今も昔ながらの伝統的な技法で一つひとつ丁寧に作られた何十種類もの扇子が店頭に並ぶ。「実は名古屋は京都と並ぶ扇子の二大産地」と3代目の川瀬貞男さん。「京都が高級品を対象としているのに対し、量産品が主体である名古屋扇子は江戸時代に京都から移り住んだ扇子職人が名古屋城下で始めたのが起源」という。

 お茶紙扇子は、茶殻を有効資源として活用する伊藤園の「茶殻リサイクルシステム」により出される含水茶殻を利用した茶殻配合紙で作った扇子。取引先から「茶殻を入れた紙で何かできないだろうか」と相談を受けたことがきっかけとなり、今年から販売を開始した。

 「袋から出すとほんのりお茶の香りが漂う」「よく見ると紙の繊維に混じって茶殻が見える」のが特徴のお茶紙扇子。大きさは7寸(2,310円)、8寸5分、9寸(以上3,360円)の3種類で、桜、松、つばめ、青海波などの絵が描かれている。

 「今はかなり分散してしまったが、昔このかいわいは扇子業者が多く集まっていた」と川瀬さん。現在、72歳の川瀬さん自身も10代のころからずっと扇子作りに携わってきたが、「扇子は手数のかかる作業。職人は生涯現役でものを作り続けるきつい仕事なので後継者が少なくなってきた」と厳しい現実を語る。

 販売開始後、「そんなに宣伝もしていないので、まだまだこれからかな」と川瀬さん。「お茶紙扇子で使用する紙は茶殻を練り込むため通常使用する紙より厚みがあり、限られた範囲内でしか製品にできない」という。「コストは下げるのには限界があるが、リサイクルということで環境にやさしく、茶殻を入れた紙を使用しているという今までにない扇子。『いいアイデアだな、手づくりはいいな』と思ってもらえれば」とほほ笑む。「これからはエコ商品としてもアピールできれば」とも。

 営業時間は9時~17時。

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