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名古屋演劇教室が11期生公演「ヒネミ」 津市の演劇団体とコラボも

「名古屋演劇教室」代表の小熊ヒデジさん(演劇練習館アクテノンで)

「名古屋演劇教室」代表の小熊ヒデジさん(演劇練習館アクテノンで)

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 「名古屋演劇教室」の受講者らで構成する演劇ユニット「NAGOYAダイアモンズ」の第11回公演「ヒネミ」が3月23日・24日、「ナビロフト」(天白区井口2)で上演される。公演に先立ち、同団体代表の小熊ヒデジさんが見どころを語った。

「NAGOYAダイアモンズ」第11回公演「ヒネミ」

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 名古屋演劇教室は、俳優・演出家の小熊さんを代表として2008年に発足。さまざまな演劇ワークショップの開催や公演の企画制作、他都市との交流事業など、名古屋を拠点とした東海地域の演劇文化の振興普及、活性化を目的に活動している。

 NAGOYAダイアモンズ公演は、「演劇練習館アクテノン」(名古屋市中村区稲葉地町1)で行われている「初心者の為の演劇ワークショップ」受講者による舞台で、今回で11回目を迎える。同ワークショップは、東海地域で活躍する演劇人を講師に迎え、演劇の基礎レッスンから公演実施までを行い、疑似的な劇団体験として演劇創作全般を学ぶことができる。

 小熊さんは「約1年かけて、演技レッスンだけにとどまらず、スタッフワークや公演の企画・制作についての講義も行い、受講者が自ら演劇活動を実践できるようになることを目的にしている。これまでの10年の活動で、150人を超える多くの演劇人を輩出することができた。期を超えた交流が増えていることもうれしい」と話す。

 今回上演する「ヒネミ」は、「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」「遊園地再生事業団」などで作・演出を手掛けた劇作家・宮沢章夫さんが1992年に発表し、岸田國士戯曲賞を受賞した作品。今はない小さな町「日根水(ひねみ)」での少年期の欠落した記憶を探し求めて地図を描き続ける男が、現在と過去の場面を往還しながら記憶の奥にある真実にたどり着くストーリー。小熊さんが演出し、ワークショップ11期生のメンバー17人が俳優として出演する。

 作品選びについて小熊さんは「僕が演劇を始めた頃、宮沢さんの演劇に大きな影響を受けた。この台本を本屋で読んで、声を出して笑ったことを覚えている。思い入れが強いが、簡単にはやれない手ごわい作品なので、今まで手を出せずにいた。今回はメンバーの男女比のバランスも良く、初心者・未経験ながら豊かな個性を持っていた。10年培ってきたものや、協力してくれる人々の成熟もあり、今ならやれると感じた」と話す。

 宮沢さんの演劇について「身近な日常の様子や会話を描きながら、そこにファンタジーや劇的な要素が入り込み、だんだんとレイヤーがかかるように少しずつずれた世界、おかしな世界に引き込まれていく。舞台と観客の距離が近い小劇場で見ると、本当に役者の一挙手一投足や空気まで楽しめる」と魅力を語る。

 11年目を迎え、新たな都市間文化交流の試みにも挑戦。三重県津市の劇場「津あけぼの座」を拠点として2018年春に発足した「カミハマ演劇研究所」(代表・油田晃)とさまざまなコラボ企画を行う。

 同研究所の1期生による公演「14歳の国」(作・宮沢章夫、演出・鳴海康平)と「ヒネミ」の両作品を観覧する人に料金割引プランを設定。3月16日・17日に津市「四天王寺スクエア」で上演される「14歳の国」のチケット半券を「ヒネミ」公演来場受付時に提示すると、300円のキャッシュバックが受けられる。両団体のメンバーが互いの稽古場を訪問してのレポートや、代表者、メンバーらによる座談会などをウェブ上で公開する。

 小熊さんは「カミハマ演劇研究所は、民間からの地域演劇の活性化、都市間ネットワークの構築など、同じ志を持っている団体。津あけぼの座ほか、三重の演劇人とは数年前から交流していて、一緒に何かをやりたいと話していた。今回はそれぞれ選んだ作品が偶然にも同じ作家だったので、交流第1弾となった。今後もさまざまな地域と交流を持ち、互いにツアーを行うなど、刺激しあって、交流を広げていきたい」と意気込む。

 最後に小熊さんは「全員が初心者、未経験者の舞台でも、こんなに面白いのかと驚いてほしい。皆、技術がないので、ありのままの自分を見せるしか手段がない。その人のこれまでの生活から導き出した役へのアプローチ、一生懸命な演技から、たくさんのものがこぼれ落ちてくる。それがダイアモンズの魅力で、毎回、演出していて、皆のみずみずしさに感動している。鑑賞ではなく、『体験』を間違いなくできる演劇。劇場に足を運んで楽しんでいただけたら」と呼び掛ける。

 料金は一般=1,800円(当日券は200円増)、22歳以下=1,400円、高校生以下=800円。問い合わせは名古屋演劇教室(TEL 090-9929-8459)まで。

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