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亀島に舞台作家・紺野ぶどうさんが「アトリエ混沌堂」 築80年の木造長屋

「アトリエ混沌堂」を手がける舞台作家の紺野ぶどうさん

「アトリエ混沌堂」を手がける舞台作家の紺野ぶどうさん

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 演出を専門とする舞台作家の紺野ぶどうさんが現在、民家を改装して創造の拠点「アトリエ混沌堂」(名古屋市中村区亀島1)オープンに向け準備を進めている。9月2日・3日には、関係者向けに内覧会を開いた。

「アトリエ混沌堂」1階ギャラリーで常設上演する「羅針図」による展覧会形式の演劇作品

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 築約80年の2階建ての木造長屋を活用した同拠点。紺野さん個人の創作活動の場にとどまらず、不定期で一般開放して公演や展示などを行うという。

 1階は、物販カウンターや古本を並べる「マルシェ」で、交流の場や上演までの待ち時間を過ごす空間などでの利用を想定。隣には、展覧会形式の演劇作品を常設で上演するギャラリーを設置する。ギャラリーで上演するのは、楽曲「Compass」を原案に自身の演劇作品企画製作レーベル「羅針図」による作品で、音楽を聞きながら観劇してもらったり、作品内を散策してもらったりできる。2階は同アトリエが企画する演劇上演や美術展示、ワークショップやトークショーなど、さまざまな展開を想定する。

 「羅針図」のほかに、自他の短編作品の継続上演を図る企画運営の「演(や)り人知らず」、他者の表現活動のアーカイブが目的の「ソウゾウ力活性化事業」の3レーベルを展開するマネジメントプロジェクト「オーチャードシステム」を手がける紺野さん。活動を一つにまとめて示すことを目指し、同拠点を企画した。「総じて混沌堂は自身のポートフォリオ」と説明する。

 コロナ禍も経験も、同拠点を考える大きなきっかけだと振り返る紺野さんは「当時は文化芸術が不要不急なものになり自粛する傾向が強まっていたが、自分にとっては文化芸術が日常で切り離すことはできなかった」と話す。2020年3月に、少ない情報を集めて考えた対策を講じて演劇上演をしたが、その後、練習に使っていた公共施設などが閉鎖になり、自粛の波に飲み込まれた。「いくら自ら対策をしても吹けば飛んでしまうと突きつけられた。ならば、吹いても飛ばないように自分で作ろう」と気持ちを固めた。

 同拠点の貸し出しはせず、紺野さんの作品や、年間を通してパートナーを組むクリエーターの企画などを展開する。2023年度のクリエーティブパートナーは、演劇作家のいば正人さんと、画家のタキナオさんの2人。

 「この場所でクリエーターが交ざり合う企画も作れる。刺激や発想が生まれていくと思う」と紺野さん。「古い木造家屋の温もりを残している反面、音や空間の制限も多い。あえてブラックボックス型の劇場に近づけず、日常に近いこの場でできることを考え創作活動を行いたい。見る側の人もイメージを膨らませてほしい。作り手の創造力と、受け手の想像力の二つの『ソウゾウ力』が刺激される場所」と話す。

 今月8日にプレオープン。10月7日のグランドオープンを目指す。開放日は原則土曜のみ。開放時間は11時~16時。日曜から金曜は、企画に合わせて開放する。

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