
名古屋城の石垣について紹介した冊子「名古屋城石垣ガイドブック」の販売が7月7日、城内の売店で始まった。発行は名古屋城総合事務所 名古屋城調査研究センター。
今年3月に行ったイベント「名古屋城石垣特別ガイドツアー&石垣拓本体験」の開催に当たり、これまで名古屋城の石垣の調査研究成果を分かりやすく解説した冊子がなかったことから、配布資料として製作した。同センターの学芸員・大村陸さんは「名古屋城を訪れる城好き・石垣好きの方々へ、石垣の見どころを知ってもらえるように当センターが行ってきた最新の調査研究成果を盛り込んだ」と話す。イベント開催以降も出来栄えに感心した市民から販売を求める声があったことから、一部改訂し販売を始めた。
誌面は名古屋城の石垣について「石垣をつくる」「石垣の構造」「石垣の特徴」「石垣の修復」の4テーマで構成する。石垣内部の構造や、刻印、矢穴、石材、石積み技術などのポイントを解説するほか、2002(平成14)年から始まった本丸搦手(からめて)馬出(うまだし)周辺の石垣の修復事業を例に、着手前から解体、調査、現在の積み直し工事までのまとめも紹介。写真やイラストを多用し、難しい調査研究成果を分かりやすく伝える。実際の石垣や築城時の石引きの様子を描いた絵図を起こしたイラストは「本物に近い状態かつ、分かりやすい」(大村さん)という。
名古屋城の石垣は築城時のまま残っている箇所が多くある。大村さんは「約400年前の技術をじかに感じることができる。当時、全国各地から集まった人々の人力で造られたことから積み方や石材、刻印など個性がある。現在に至るまでに崩れて修理した石垣も各所にあり、積み重ねられてきた歴史も見られる。ガイドブックを見て名古屋城の石垣をじっくり観察してほしい」と話す。
A4判、18ページ。価格は500円。「西の丸御蔵城宝館ミュージアムショップ」「本丸御殿ミュージアムショップ」で販売する。