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名古屋のどて煮店営む猫の姉妹の漫画「トラとミケ」第4巻 旧友と過ごす時間描く

最新刊第4巻「トラとミケ やさしい日々」のカバー

最新刊第4巻「トラとミケ やさしい日々」のカバー

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 名古屋のどて煮店を営む猫の姿をした人物(猫物)の「トラ」「ミケ」の姉妹の日々を描く漫画の第4巻「トラとミケ やさしい日々」が10月26日、発売された。

「トラ」の高校時代の同級生「中村くん」と「トラ」、幼なじみの「シンちゃん」が登場するページ

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 小学館発行の女性週刊誌「女性セブン」に連載中のねこまきさんの漫画作品をまとめた単行本。ねこまきさんは名古屋を拠点に活動するイラストレーターで、コミックエッセーや広告イラストも手がける。

 作品は、季節に合わせた12話に分けてつづられている。登場するのは、父親から受け継いだどて煮店「トラとミケ」を切り盛りする「トラ」「ミケ」と、店を訪れる常連客や近所に住む幼なじみや近隣店主など。名古屋弁で繰り広げられる会話や、店で提供する料理が描かれるのも特徴の一つ。

 人生で起こる楽しいこと、苦しいこと、悲しいことなどさまざまな出来事が描かれる物語の中では、店においしい食べ物を求め、世代を超えて集まった仲間が、「困ったときはお互いさま」とお節介を焼く場面もしばしば表現される。同作品を担当する編集者の橘高真也さんによると、読者からは「優しい気持ちになった、こんなふうに生きていきたいなどの声が寄せられる」という。

 1巻は5刷、2・3巻は共に3刷まで増刷された。女性セブンでの連載はモノクロだが単行本はフルカラー。橘高さん「モノクロで読んでいた時には分からなかった微細な色の濃淡がフルカラーではとても美しく、読者の皆さんはそのことに感動している」と話す。

 第4巻では、長らく東京で暮らしていた「トラ」の高校時代の同級生「中村くん」が名古屋に戻り、旧友とかけがえのない時間を過ごす様子が描かれるが、実は「中村くん」は病魔に侵され余命宣言を受けている状況だった。橘高さんは「ある程度年を重ねると、誰もが自分の残りの人生を考えるようになるのでは。この先、誰と、どこで過ごしたいか、自分の人生は幸せだったのだろうかなどといろいろと考えることもあると思う。ねこまきさんとそうしたことを話し合いながら、作り上げてもらったのが本作」と話す。

 「中村くん」が残りの人生をどのように過ごしたのか。「季節折々の風景と共に丁寧に、優しく描き出した本作を通して、せわしなく過ぎていく日々の中で少しだけ歩みを止めて、これまでやこれからの人生を思ったりして、豊かな時間を過ごしてもらえれば」と橘高さん。「年を重ねると訃報に接する機会も増えてくる。そうした人をどう見送るか、そんなことも考えられる作品になっている」とも。

 仕様はA5判、176ページ。価格は1,430円。

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