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「名チャリ」とコラボした円頓寺かいわいの魅力発信マップ、地元高校生が制作

円頓寺・四間道かいわいの魅力発信マップ「円JOY(えんジョイ)」を手に加藤さん(左)と山口さん(右)

円頓寺・四間道かいわいの魅力発信マップ「円JOY(えんジョイ)」を手に加藤さん(左)と山口さん(右)

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 愛知商業高校の高校生15人がこのほど、コミュニティーサイクル「名チャリ」とコラボして円頓寺・四間道(名古屋市西区)かいわいの魅力発信マップ「円JOY(えんジョイ)」を制作した。

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 「名チャリを使って何かしてみては」という教師のアドバイスをきっかけに、2・3年生15人のグループで始まった同企画。「最初はいいなと思ったが、何をしたらいいのか…」と振り返る3年生メンバーの山口さんと加藤さん。そうした中、地域プロジェクトに深くかかわり同企画に協力する電通中部支社社員から「面白いスポットがある」と紹介されたのが円頓寺だったという。

 そのときは円頓寺の存在を知らなかったという2人。現状分析のため、円頓寺のフリーペーパーを手がける飯田さんのガイドで初めて同エリアを訪れた。最初は「シャッターが閉まっている店が多いな」(山口さん)と閑散とした商店街の印象だったが、古い蔵や石垣などが残る四間道にも足を運び案内が進むにつれて印象が変わっていった。「このエリアは、名古屋城築城のため当時尾張の中心だった清洲から新たな市街地を作るため寺社や橋など街ごと引っ越した『清洲越し』の舞台だったなど、歴史・文化のある地域だということを気付かされた」(加藤さん)。

 昨今の歴史ブームも意識し、名古屋開府400年縁(ゆかり)の土地である円頓寺・四間道かいわいの歴史を知ってもらうことでまちおこしにもなると考え、歴史をフックにした魅力発信マップを作ることに決め、「歴史おこしで街おこし」と題した研究を進めていった。

 マップ作りは、円頓寺かいわいの商店一軒一軒を撮影し、写真を大きな紙に張りコメントを書き込むところから始まった。だが、「作ってみたものの、この先どうすればいいのか行き詰まった」と山口さん。電通中部支社社員に再び相談し、「自分たちが面白いと興味を持ったところを紹介するといいのでは」とアドバイスを受けマップ作りを再開。今度は1人につき1カ所掲載するスポットを決め、それぞれがその面白さを表現することにした。

 山口さんが注目したのはレトロな喫茶店「西アサヒ」。「とにかく店主がすごい。メニューは『○○でいい?』と勝手に決めてくれたり、帰りにコロッケをくれたり…(笑)、印象的だった」。加藤さんは本町商店街にある神社「多賀宮」にフォーカスを当てた。恋の行方が占える「おもかる石」に興味を抱いた。「普通の神社だとおみくじが一般的だが、ここでは『おもかる石』で占えて面白いと思った」。そのほか、雑貨店、カフェなど8つのスポットをマップに掲載し、それぞれ独自のコメントを添え紹介している。

 裏面には、同かいわいを含んだ名古屋駅から名古屋城までの回遊マップを掲載。寺社や歴史建造物などを回る「歴史探索ルート」も考え、名チャリと連携しステーションも掲載。「自転車で観光してもらいたい」という思いを込めた。「違う切り口で見ると意外にステーションが多いと思った。新しい気付きがある」と名古屋市自転車利用課名チャリ担当の松村さん。

 一連の研究結果は、今年の高等学校生徒商業研究発表大会で発表し、愛知県大会で最優秀賞を受賞した。マップは名古屋市が1,000部印刷し、9月に行われた「環境デーなごや」名チャリブースなどで配布したほか、今月2日に行われた名チャリのオープニングセレモニーでPRした。現在はホームページからダウンロードできる。

 同校教諭の梶原さんは「このマップ制作は地元企業や行政、地域の人たちと連携し、既存の地域資源を活用することで地域に貢献できる学習。社会と接しコミュニケーション能力が鍛えられ課題を解決する力も身につけられる、就職や進学を前に職業観を育てるのに役立つと考える」。

 松村さんは「高校生が頑張って作ったマップを世に送り出したいという気持ち。今後は学生と一緒に地元企業にマップをPRし、印刷代の協賛を求めていきたい。そうすることで、行政だけに頼ることなく自立し、地域に支えられたコンテンツとなりうるものと考えている」。また、「『名チャリ』と『愛知商業高校』と『円頓寺」、このコラボが互い密になることで相乗効果が生まれ、目に見える分かりやすい街づくりのモデルケースとなっていけば」と期待を寄せる。

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