「犬」をモチーフにした生菓子「わんわんこなし」の期間限定販売が1月11日、名古屋の和菓子店「不朽園」（名古屋市中川区尾頭橋3）で始まった。

ピンク色と緑色の首輪を付けた愛らしい表情の「わんわんこなし」

　1927（昭和2）年創業で、主力商品のもなかなどの和菓子の製造販売を手がける同店。

　一昨年、複数の若手職人が新しく入り、昨年、ベテラン職人が退職したという同店。現在、職人10人のうち若手は6人。店長の杉村知子さんによると、昨年秋ごろから突如、さまざまな新商品の提案を受けるようになったという。「若手がよりやる気になり、どんどんアイデアが上がってくる。3人いる女性職人の影響もあり、全体的にワクワクとした感じが伝わってくる明るい職場になった」と笑顔を見せる。

　「わんわんこなし」は、同店で働きはじめて15年目になる職人で製造部主任の大岩直樹さんが考案した。自身のアイデアが商品化されるのは初めてという。大岩さんによると、これまでアイデアを書きためていたが、提案したことはなかったという。イベントが落ち着く2月に何かできないかと考え、好きだという猫をモチーフにした「こなし」の試作品を提案。これを見た犬好きの杉村さんのリクエストを受け、「わんわんこなし」の商品化に取りかかった。

　顔、胴体、耳、鼻、ピンクに色付けた舌とほほなどをこなしで作り、目には黒ゴマを使い、愛らしい姿に仕上げた。パーツを付ける位置をあえてずらしたり、色付けに変化を持たせたり、1個ずつ表情を変えている。大岩さんは「手作りを感じてもらえるほか、好きな表情を選んでもらえる」と話す。ピンク色と緑色の首輪を付けた2個セットで価格は540円。

　発売初日を迎え「ドキドキ、わくわくしている」と大岩さん。「まずは目で見て楽しんでほしい。わんわんこなしの表情を見ていると、何を考えているのかな、など想像してしまう。犬好きに関わらずかわいいと思ってくれる人に届いてくれれば。話のきっかけにもなるのでは」と笑顔を見せる。

　「職人の作りたいという勢いを感じる。あふれるアイデアをつぶさずに、『いいね、いいね』と後押ししていく。夏は暑く、冬は寒い、過酷な現場なので、働いて楽しい職場になることでお客さまも来て楽しめる店になるのでは。伝統の味と、新しく作られる商品の両方を大切にしていきたい」と杉村さん。大岩さんは「時間ができた時に思いついたアイデアを形にして職人同士で見せ合い、意見交換もしている」と話す。

　営業時間は7時～19時。「わんわんこなし」販売は1月14日まで。2月22日前には「猫」をモチーフにしたこなしを販売する予定という。