アニメ作品が次々と劇場で公開されるようになった1980年代の隆盛を紹介した書籍「日本アニメ黄金時代 栄光の80年代劇場アニメ」が10月1日、発売された。
プレジデント社から発売された書籍「日本アニメ黄金時代 栄光の80年代劇場アニメ」
著者の近藤良英さんは、1978(昭和53)年に松竹に入社後、同社初のアニメ担当プロデューサーとなり、「機動戦士ガンダム」3部作、「伝説巨神イデオン 接触篇(へん)/発動篇」「クラッシャージョウ」など、さまざまな劇場アニメの宣伝に携わった。1990年代にはアスキーなどでゲーム開発やアニメ・CG制作、映画企画開発などに従事。2024年より、名駅の映画館「ミッドランドスクエアシネマ」を運営する中日本興業に入社し、1980年代の名作アニメを大スクリーンで上映する企画「どまんなかアニメ映画祭」総合プロデューサーなどを務めている。
同書は、近藤さんの漫画家を目指した少年時代から数々の作品でアニメブームを作り上げた映画宣伝の日々、名古屋でアニメ映画祭を立ち上げて運営する現在までの出来事や思い出を、当時の写真やポスターなど豊富な資料と共にまとめている。
近藤さんは「名古屋に『どまんなかアニメ映画祭』を見に来た出版社の人が声をかけてくれた。多くの傑作が生まれ、日本のアニメが大きく変わった黄金時代に、実際に見たことや聞いたこと、クリエーターが何を考え、何を生み出そうとしていたのかを、当事者の記録として残したかった」と話す。
富野由悠季さん、安彦良和さん、大河原邦男さん、河森正治さんら、80年代アニメの中心で活躍したクリエーター、プロデューサーら11人に、当時の制作現場や名作が生まれた背景などについて聞く計100ページを超えるインタビューも収録。「インタビュアーの石井誠さんのおかげで、レジェンドたちの挑戦や情熱、当時の思いを存分に語ってもらえた。新しいものを生み出そうと前に進み続けた80年代のアニメ業界の空気を感じてもらいたい」と話す。
掲載している多くの写真やポスターは、松竹大谷図書館に保存されている貴重な資料などから選んでいる。「当時、自分の手でスクラップした資料も全て残っていて、記憶が次々とよみがえり、つながっていった。たくさんの出来事を書き記したが、中でも鮮明に覚えているのは、1981(昭和56)年に新宿駅東口に約2万人の若者が集まったイベント『アニメ新世紀宣言』。予想の10倍も集まったアニメファンの熱気を目の当たりにして、アニメが子どもの娯楽から若者の文化へと変わっていく歴史的な瞬間だと感じた」と振り返る。
近藤さんは「当時アニメファンだった世代はもちろん、次の時代のアニメを作る若者にも興味を持ってもらえるはず。気になる作品があったら、できれば大きなスクリーンで見てほしい。レジェンドたちをはじめ、多くの人々の情熱と才能が注ぎ込まれていることが伝わるはず」と話す。
仕様は四六判、328ページ。価格は2,420円。