名古屋のどて煮店を切り盛りする猫の姉妹「トラ」と「ミケ」を主人公にした漫画「トラとミケ」の第8巻「すがしい日々」が10月29日、発売された。
転勤で東京から名古屋に移り住んだ中年男性「メガネくん」が登場するページ
小学館発行の女性週刊誌「女性セブン」で連載中の作品をまとめた単行本。作者のねこまきさんは、名古屋を拠点に活動するイラストレーター。2019年に第1巻を刊行し、累計発行部数は14万部を超えた。
物語の舞台は、亡き父から受け継いだどて煮店「トラとミケ」。姉妹や店の常連客ら個性豊かな猫たちが織りなす日常を、季節に合わせた12話で描く。新しい読者も楽しめるよう、新たな客が登場するオムニバス形式で描くことをねこまきさんに依頼。どの話からでも楽しめる構成とした。
8巻では、新たな登場人物の一人として、転勤で東京から名古屋に移り住んだ中年男性「メガネくん」が登場。情報誌の記事をきっかけに店を訪れ、常連となる中で、彼の人生の背景も明らかになっていく。
同作を担当する編集者の橘高真也さんは「酒場には、常連もいちげん客も、背景や仕事など異なるさまざまな人が訪れる。たまたま隣り合った人同士がひととき交流し、また日常に戻っていく。誰の人生にもいろいろなことがあり、それをかみ締めながら生きていると伝えられたら。人に優しくなれたり、自分だけがつらいわけではないと思えたりする作品になればうれしい」と話す。
早くも読者から感想が届いているといい、一番人気は第90話「新秋の候」。「トラとミケ」の前で落とし物を拾ったという初老の男性が来店する。普段から下を向いて歩くという男性の理由が明かされる物語で、その理由に感激する人が多いという。
タイトルの「すがしい」は、爽やかで気持ちが良いという意味。さまざまな事情を抱えながらも一生懸命生きる人々の姿に、編集を通して感じた気持ちよさを込めた。
橘高さんは「作品を読んで『トラとミケ』に行ってみたい、これまで入ったことのない居酒屋にもふらりと入ってみようと思ってもらえたら。昨今は暗いニュースも多いが、『世の中、そんなに悪いことばかりではない』『もう少し頑張ってみよう』と思えるきっかけになれば」と期待を寄せる。
仕様はA5判、176ページ。価格は1,595円。